東京五輪で日本人メダリスト続出の「スケボー」は「競技」として拡散すべきなのか、「文化」として浸透していくべきなのか?

コラム

 

東京五輪大会から新種目として初採用された「スケートボード」で、7月25日の男子ストリート決勝では堀米雄斗選手(22)が金メダルを、26日の女子決勝では西矢椛(もみじ)選手(13)が国内史上最年少の金メダル、中山楓奈選手(16)が銅メダル……と、日本人選手のメダルラッシュに、ちまたが大いに湧き上がっている。

 
私もたまたま男子決勝はテレビで観ていたのだが、技ひとつ一つの「どこがどうすごいのか」こそさっぱり理解できなかったものの、「なんとなくすごいことをしてる」感は、そのトリッキーな一挙手一投足からヒシヒシと伝わってきて──さらには2013年のワールドカップで日本人初の優勝を果たしたというプロスケートボーダーの瀬尻稜選手(24)の「ゴン攻め」で「ビッタビタ」な「やべえ」、しかし意外と懇切丁寧でわかりやすい専門分野の解説によって、素人なりにじゅうぶん楽しむことができた。コードレスイヤフォンで音楽を聴きながらパフォーマンスに興じるという独特なスタイルも面白いと思った。また、我が国の代表選手がメダルを獲得できた瞬間は、やはり素直にうれしかった。みなさん、おめでとうございます。

 
で、そんな連続する朗報でメディアやネット上が埋め尽くされているなか、25日(=堀米選手が金メダルを獲得した直後)にロイターが、こんな記事をひっそりと配信していた。

 
冒頭の写真には「スケボー等使用禁止」と書かれた貼り紙が。その下には、

 

 
東京大会から五輪の新種目となったスケートボードで25日に堀米雄斗が男子ストリート初代王者となる輝かしい出来事があった一方、日本においてスケートボードは公共の場所ではいまだ迷惑行為と見なされている現実がある。

 
東京・江東区の有明アーバンスポーツパークが競技会場となったが、選手と地元民を隔てる境界フェンスには、皮肉にも「スケボー等使用禁止」と書かれた白いポスターが無数に貼られている。この掲示は付近の学校によって出されたもの。

 
……との文面があった。

 
10年前から動画を投稿し続けてきたスケボー界の有名人であるらしい人気ユーチューバーのシモンさんは、乙武洋匡氏(45)が『スポニチAnnex』で短期連載している『東京五輪 七転八起』というミニコーナーで、今回の快挙に「歴史が大きく変わった」と顔をほころばせながらも、

 

 
「スケボーは本来、競技ではなく文化なんです。今後、競技として見られることで文化が壊れてしまわないか、一抹の不安もあります」

 
……と、コメントしている。

 
じつのところ私は今年の3月、『「スケボーはストリート文化から発展→路上走行もアリ」というロジックを我々日本人は受け入れるべきなのか』なるタイトルのコラムを寄稿したことがある。「(ストリート)文化としてのスケボー」をけっこう否定的に捉えた内容であった。

 

 
私は一度“路上スケボー男”に衝突されて、病院に行かねばならないレベルの怪我を背中に負った経験がある(※ちなみに、その路上スケボー男は信じられないことに「チッ」という舌打ちと「ボーッと歩いてんじゃねえよ!」と捨て台詞を残し、すい〜っと去っていった)。さらには、昔住んでいた自宅の隣に公園があって、そこには毎夜、スケボー少年たちが集い、ゴ〜ガラガラガタンゴ〜ガラガラバタンと深夜まで耳障りな規則正しい雑音がリフレインされ、軽い不眠症になったこともある。

 
……といった、激しい個人的恨みがあるからだ。そして、私のスケボーに対する個人的見解はメダルラッシュ後も、まったくブレてはいない。前出のシモンさんには申し訳ないのだけれど、私はスケボーがもっと「競技」「スポーツ」として徹底認識され、草野球は野球場で、テニスはテニスコートでプレイするのと同様な格好で裾野を広げていくことを望んでいる。

 
東京五輪をきっかけに本格的なスケボーブームが到来したとすれば、まだ時間はかかるだろうけど、どんどんとソレ専用の施設を増やしていけばいい。カリフォルニアだとかのだだっ広い通路や公園がある環境下ならまだしも、この狭くて人口密度が高いニッポンにおいて、歩道や近所に住宅が密集する空き地で車輪が付いた板に乗った人間が走り跳ねる「文化」は……残念なから、受け入れ難いのではなかろうか。

 

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