東京パラリンピック開会式を大いに盛り上げた布袋寅泰の「カッコよさ」について、今一度じっくりと考えてみた!

コラム

 

東京オリンピックの“それ”とは一転して、「コンセプトが一貫していた」「シンプルな構成が良かった」……ほか、ネット上でもおおよそは好評の声が目立つ、8月24日に行われた東京パラリンピックの開会式だが、そんななかでも「よりいっそう場を盛り上げるパフォーマンスをブチかましてくれた一人」として称賛の名指しを受けているのが、ロックミュージシャン兼ギタリストの布袋寅泰(59)である。

 
同開会式のテーマは「WE HAVE WINGS」。ピッチ上に“パラ・エアポート”を描き「片翼の小さな飛行機の物語」といった設定の演出で、その飛行機に乗った車椅子の少女(=公募で選ばれた和合由依さん・13歳)を励ますため、布袋がド派手なデコトラの荷台から映画『キル・ビル』のテーマ曲『Battle Without Honor or Humanity』を演奏しながら登場! トレードマークのモノクロ幾何学模様のギターを手に、開会式のために作曲した『TSUBASA』と『HIKARI』の2曲を、全盲ギタリストの田川ヒロユキ(50)、車椅子ギタリストの川崎昭仁(53)らとともに演奏した。

 
ちなみに、これは布袋本人が過去に語っていたのだが、イギリスでのコンサートの後、お客さんから「キル・ビルのテーマ曲のカバー、良かったよ」と声をかけられたが、「オレの曲だよ」と言えずに「あ、ありがとう…」と返すしかなかった……という微笑ましいエピソードもある。あと、この「ド派手なデコトラ」は江戸時代の絵師・伊藤若冲の日本画で装飾されたもので、日本独自の文化の一つである「デコトラ」(※日本を舞台としたリドリー・スコット監督の映画『ブラック・レイン』でもデコトラは美術の一つとして使われていた)をも全世界にアピールする格好となった。

 
強烈な個性を放ちながら熱演するパフォーマーたちに負けず劣らずの圧倒的な存在感──たしかに、この日の布袋はいつもに増して輝いていた。あの人並み外れた体躯とルックス……それに、まるでジャイアント馬場のようなテンポで規則正しく片足を上げ下げする「ありきたり」と表現するにはあまりにトリッキーで、「斬新」と表現するにはあまりにアーシーなダンスは、まさしく目を一瞬たりとも離すことができない“釘付け状態”となってしまった。

 
私は、布袋寅泰の「カッコイイ」の秘密は、ズバリ!

 
運動神経やリズム感といった概念を超越した動き」

 
……にあるとにらんでいる。たとえば、私の友人である、日本では相当に有名なバンドのドラマーは、クラブとかで音楽に乗って踊っていると、かなりマニアックなかたちで体幹や四肢を蠢(うごめ)かす。そのさまを見て私は最初、

 
「あれ? 日本を代表するドラマーなんだから、リズム感も抜群で、もっと上手に踊れるハズでしょ?」

 
……と、不思議に思っていた。しかし、それは完全に間違っていた。私の“誤った先入観”に過ぎなかった。そう! 単なる“上手いミュージシャン”ではなく、真に“優れたミュージシャン”は、

 
「既成のリズムに囚われない、自分だけのオリジナルなリズム感を遺伝子レベルで有している」

 
……のである。そして、その“見慣れなさ”が我々の脳内で「奇異」から「カッコイイ」へと変換されたとき、全身に鳥肌が立つほどの「感動」が生まれるのではなかろうか?

 

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