【追悼】さいとう・たかをさん死去。巨匠の頭の中だけに眠る『ゴルゴ13』の「最終回のアイデア」を頑張って推測してみた!

コラム

 

日本の劇画界を牽引し、今年7月には代表作『ゴルゴ13』が「最も発行巻数が多い単一漫画シリーズ」として『こち亀』を抜き、ギネス世界記録に登録された、漫画家のさいとう・たかをさんが9月24日、膵臓がんのため84歳でお亡くなりになった。

 
国籍・年齢・本名……すべてが不明の特A級スナイパー・デューク東郷を主人公とする漫画『ゴルゴ13』を1968年11月から連載する『ビッグコミック』編集部は「訃報:さいとう・たかを氏ご逝去」とツイートした後、「……だが、物語は続く」と声明。さいとうさんが脚本協力・作画など各分野をプロフェッショナルが担当する“分業体制”に力を入れていたのは有名な話──そして「自分抜きでも『ゴルゴ13』は続けてほしい」というのがさいとうさんご本人の希望だったという。

 
私たち世代が「青春時代からこれまでの半生を共にしてきたダークヒーロー」と言っても過言ではない『ゴルゴ13』がこれからも“まだ”連載を継続してくださるのは、まことにもってうれしいかぎりだが、同時に「さいとう・たかを先生の頭の中だけでずっと眠っていた」とされる「最終回のアイデア」をちょっぴり読んでみたかった……とも思ってしまうのは、はたして不謹慎であろうか? ギネス登録直後に『文藝春秋』に掲載されたインタビュー記事で、さいとうさんは次のように語っている。

 

 
正直に言ってしまえば、「ゴルゴ」が201巻まで続くことになるとは、私も予想していませんでした。最初は10話限りで終えるつもりでしたから。そもそも漫画の連載なんて、いつ終わるかわかりません。漫画家とは、いわば、いまにも落ちそうな腐った橋の上を猛スピードで走り抜けるような仕事なのです。連載がいつ終わってもいいように、当初から最終回のアイデアも考えてありました。以来、最終回のアイデアは、ずっと私の頭の中だけに眠っているんです。

 
では、一体さいとうさんはこの“壮大な物語”をどのようなかたちで幕引きなされようとしていたのか!? 「おこがましいにも程がある」のを承知で、凡夫たる私が乏しい想像力をフル回転させ、勝手に「ゴルゴ13最終回のパターン」をいくつか考えてみた。

 
【パターン1】のっぴきならない強敵に敗れてしまう

 
とんでもない大国だか経済コングロマリットだかが送り出した、なにかとんでもない能力をもった刺客と死闘の末に…。だが、(ロックフェラーを文字った)ロックフォードの陰謀にも、テレパスの攻撃にも、さらにはエボラウイルスにまでも、すでに打ち勝っているゴルゴも勝てない相手とくれば…もう「時間を止める能力」を有するJOJOシリーズの『DIO(ディオ)』クラスしか思いつかない。ただ、ゴルゴならたとえ標的がDIOでもどうにかしてしまう気もするが…?

 
【パターン2】交通事故とかで意外とあっさり他界してしまう

 

ゴルゴが“いつものように”仕事を終えた直後にふっと気を抜いた瞬間、交通事故や通り魔に襲われたり…と、意外とありふれたアクシデントで他界? ゴルゴに「ふっと息を抜く瞬間」なんて100%あり得ないのだが…。

 
【パターン3】不治の病で引退

 

さすがのゴルゴでも太刀打ちできない、なんらかの不治の病に犯され、自身が所有している豪華医療客船で静かに息を引き取る際、「ゴルゴの出生の秘密」が走馬灯の如く脳内をよぎっていく…。だが、もはや時間軸としては整合性のつきようがない“サザエさん状態”と化してしまった、本来なら100歳近いゴルゴの超アンチエイジングな出生を明かすのは、今やほぼ不可能だったりする。

 
【パターン4】引退して悠々自適の老後をすごす

 

『アベンジャーズ』のサノスが指パッチンして「全宇宙の人口を半分に減らす」という野望を達成したのち細々と独り、どっかの星で農園を営みながら暮らしていたのと同じパターン。ただ、お亡くなりになるまで第一線での現役を貫きとおしたさいとうさんのポリシーと反するのか、そういうフェイドアウト的なピリオドはゴルゴに似合わない?

 
【パターン5】消息不明になってしまう(ケースA)

 
アメリカの大統領あたりが側近に「最近、ゴルゴ13の噂を聞かないが、キミのところに新しい情報は入ってきていないのかね?」と尋ね、「ここ数年はなにも…。あの◯◯事件で、すでに命を落としたと私どもは分析しておるのですが…」みたいなやりとりのうち、「そうか…しかし、もしかしたら我々の知らない所で、世界情勢を一発の弾丸で変えるようなミッションを完璧に遂行しているのかもしれないな…」と(アメリカの大統領あたりが)回想する。

 
 
【パターン6】消息不明になってしまう(ケースB)

 
のっぴきならない強敵との死闘のすえ、相討ち的な状態となりゴルゴが消息を絶ってから早数年…。ゴルゴはすでにこの世にいないとの説が有力になったころ、とある依頼人の前にゴルゴがいきなり「話を聞こう…」と愛用の葉巻・トルコ産のトレンドを片手に現れる。

 
……以上、我ながらどれも“ありきたり”なラストばかりだったりするのだけれど、

 
「『ゴルゴ13』は永遠に生き続ける!」

 
……という、『さいとう・プロダクション』と『ビッグコミック』編集部の揺るぎない“決意表明”こそが、“不死身”のデューク東郷、それにさいとう・たかをスピリッツにもっとも相応しい“ラスト”の締めくくり方だったのではなかろうか。心よりご冥福をお祈りします。

 

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