人気ラーメン店の「YouTuber出禁」宣言は“英断”なのか、それとも“やりすぎ”なのか?

コラム

 

ネット版の『女性自身』によると、とあるラーメン店がYouTuberの来店禁止を公式ツイッターで呼びかけたことが、ネット上で物議を醸している……らしい。

 
今回、このような“決断”に踏み切ったのは、京都市下京区にある『吟醸らーめん久保田』というラーメン店──「味噌つけ麺」を定番メニューとする、『食べログ』でも3.75点と高い評価を獲得している人気店……なのだそう。そして、同店の公式ツイッターに突如アップされたという“問題の投稿”の文面とは、以下のとおりである。

 ユーチューバーの方のご来店について お知らせ 最近ユーチューブやってます。撮影させてもらいます。って方が増えていますが今後当店ご来店禁止させて頂きます。はっきり言っていきなり営業中に来て動画撮り始めて正直気持ち悪いし怖いし他のお客さんにも迷惑かかります。今後うちはお断りします。

 
「いきなり営業中に来て、ユーチューブやってます、撮影させてもらいます、の一言だけで動画を撮り始めてしまう」なんて規格外の礼儀知らずな輩(やから)が、はたして本当に実在するのか……と、まずはビックリした。私の“古巣”である出版界では絶対にあり得ないことだからだ。

 
仮に、雑誌の特集とかで、どこかのラーメン屋さんを取材する場合は、とにかく事前に電話なりメールなりでアポを取り、「「まことに申し訳ございませんが、どうにか開店前か閉店前に30分ほど時間をいただけませんでしょうか」とお願いして、そこで許可が下りたら、ようやく撮影の準備に入ることができる……といった風な流れであり、万一、営業時間中にお邪魔しなければならない場合でも、来店中のお客さまにはひとり一人に「すみません! これから撮影させていただきます」と仁義を切り、「写り込むのがNG」なお客さまがいたら、その人を画角から避けるアングルを探し、さらには写真選びの段階で(写り込んでも大丈な人も含む)すべてのお客さまの顔が写っていない一枚を厳選する。もちろん「ウチはいいです」と、すげなくお断りされるケースも多く、この手のお店取材は極論すれば「アポ取りが済んだ時点で仕事の8割は終わったも同然」と言っても過言ではない。

 
そりゃあ、

 
「お店の宣伝にもなるんだから、いいでしょ?」

 
……みたいな考え方もあるのかもしれない。が、我々媒体側が取材したくなるお店というのは、(原則として)たいがいなんらかのかたちで「すでに話題になっているお店=今さらの宣伝活動をそこまで望んでいないお店」であるわけだし、ならば営業のルーティンを崩す“取材”なる“異物”は、われわれ媒体側が組んだ“特集”を完成させ、雑誌の売り上げを伸ばすために「ご協力いただいた」のだから、やはり

 
「お店側にとってはメリットよりデメリットのほうが大きい…はず」

 
……と、私なんかは恐縮してしまう。

 
「そんな、まどろっこしい段取りを踏まないゲリラ取材こそがYouTubeの魅力でしょ?」

 
……みたいな考え方だってあるのかもしれない。だがしかし、この手のYouTuberが行っているラーメン屋での“暴挙”は、たとえば電車のなかで「ユーチューブやってます。撮影させてもらいます」と、いきなりスマホの動画を回し始めるのとまったく同じことであり、私だったら「ふざけるな!」と、そのYouTuberに間違いなく詰め寄ってしまう。

 
「YouTuber」という肩書きが“職業”として認知されつつある昨今、もはやアマチュアリズムをかさにきる特権的行為、“例外”は許されないのだ。

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