『寄生獣』は頭脳戦バトル漫画の“走り”だったのか? ミギーの知略に富んだ華麗な作戦

コラム

citrus 二階堂銀河

 

連載終了から約20年が経ってアニメ化された人気漫画『寄生獣』。全10巻(オリジナルコミックス)ながら、発行部数は2400万部を超え、今なお根強いファンに愛され続けている作品です。

普通の高校生である主人公・泉新一(シンイチ)は、突然地球に来襲した寄生生物に右手を乗っ取られてしまい、ミギーと名付けたその生き物と共生することに。そして、頭部を乗っ取って人間を完全に支配した寄生生物たちとの戦いを余儀なくされ、シンイチはそのなかで徐々に強くなり成長していく――というストーリー。

今回は知略家で冷静なミギーが、攻め寄ってくる寄生生物を相手に作戦を描き、シンイチとのチームプレイのもと鮮やかに勝利を収めた戦いを3つ紹介します。

 

 

■VS.「Aさん」

人間界に巧妙に潜伏する寄生生物・田宮良子がシンイチとミギーのもとに連れてきたのは、名前を持たない寄生生物「Aさん」。田宮良子は思慮深く哲学的な性格であるため、シンイチらに対し必要以上に敵意を見せませんでしたが、「A」のシンイチらに対する見解は異なりました。

本来は脳を奪い支配するはずが右手に寄生し、しかも宿主である人間と共存しているミギーの存在を危険視した「A」は、シンイチを始末すべく高校を急襲します。人目はばからず襲いかかる強引で短慮な「A」に対し、ミギーは避難する大量の生徒に紛れて「A」の不意をつく作戦を提案。しかし、シンイチは犠牲者を多く出す作戦は到底受け入れられないと却下し、むしろ避難の動線から遠ざかり人気のないところへ。

ミギーによって考案された第2の作戦は、ミギーが防御に徹し、凶器を忍ばせたシンイチが不意をついて攻撃するという分業体制。シンイチはやや不安がりながらも、その作戦は見事に成功。シンイチの攻撃は「A」の胸を一突きに。瀕死の重傷を負った「A」は命からがら逃げ出し、最後は田宮良子の策略によってとどめを刺されます。

 

 

■VS.島田秀雄

シンイチが通う高校に転校してきた寄生生物・島田秀雄は、田宮良子と同じくあくまで中立的な態度でシンイチらに歩み寄ります。しかし、あるとき同級生の女子生徒に自身が寄生生物であるとバレてしまった島田は、女子生徒を始末しようと手にかけ……。女子生徒がこんな事態もあろうかと護身のために手に持っていたのは、理科室にあった硫酸入りのビン。

女子生徒が殺される寸前で島田にめがけて投げたビンは、頭部を変形させた島田の上で割れ、頭部にモロ直撃。島田はひどく苦しみ悶え、意思統一が不可能に。そして手あたり次第、無差別に生物を攻撃する殺戮マシーンと化します。多少の犠牲を出すものの、思考が鈍った島田は突入した警官にいずれ始末されることが明白な状態でした。

しかし、シンイチは「何かのアクシデントで島田がああなったにしても、島田の正体を知っていたおれたちにも責任がある」と自ら始末することを決意。そしてシンイチは学校全体を一望できるビルの屋上に上り、学校の屋上に逃げ込んだ島田めがけて拳骨大の石を投げ、島田の胸に大きな穴を空けて始末することに成功します。

 

 

■VS.三木

一つの体に五体の寄生生物を宿し、そのうちの三体ぶんを操ることができる三木。シンイチを危険視した広川市長一派は、三木を遣わせて始末しようとします。シンイチらは、戦闘能力を追求した三木という存在を初めて目のあたりにし、突如として相対することに。そして――やはり三木の両腕に宿る二体分の攻撃をシンイチとミギーの力だけで真正面から防ぎきるのは難しく、2人はかつてないピンチに見舞われます。

逃げ寄りの戦いを続けながらも三木の分析を続けるミギーは、やがて打開策を考案。三木から逃げるふりをして森林のなかに引きこみます。そこで三木から見て横の線の動きになるよう、三木の伸ばした触手による攻撃から逃避を続け……三木がその規則性のある動きに慣れてきたころ、不意をついて三木のもとへ一直線にダッシュ。

三木は両腕に宿る寄生生物の意思を統一できるとはいえ、まだまだ両腕の操縦を完璧にこなせるわけではありませんでした。よって、突如としてパターンを変えて一直線に向かってきたシンイチの動きに対して、機敏に反応することができなかったのです。自身の触手で迎え撃つべく照準を合わせようとするも、ミギーの触手を防ぐことはできず、首を一刀両断に。シンイチらは、過去最強の敵である三木の頭を切り落とすことに成功します。

 

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