【ONEPIECE考察】ナゼ悪魔の実:動物(ゾオン)系は弱くなったと言われてしまうのか?
『ONEPIECE』と言えば、食べることで特殊な力が得られる悪魔の実の能力を駆使したバトルも魅力のひとつ。しかし、悪魔の実のなかでも動物の力が与えられる動物(ゾオン)系は、弱いという意見が多い。今回はなぜ動物系が弱いと言われているのかを解説!
■超人系や自然系の能力が強いため相対的に弱く見える
まず動物系が弱いというよりも、超人(パラミシア)系、自然(ロギア)系の能力が動物系と比べて強いという要因が挙げられるだろう。
超人系は主人公ルフィのゴムゴムの実、王下七武海バギーのバラバラの実のように文字通り超人的な能力を得ることができる種類だ。
自然系はルフィの兄エースのメラメラの実、元海軍大将・青雉のヒエヒエの実のように自然現象そのものを操る、もしくは自分自身が自然現象に変化できる種類である。自然系は悪魔の実のなかでも別格の存在であり、最強の悪魔の実と言われることが多い。作中でも、海軍元帥・赤犬がマグマグの実、海軍大将・黄猿がピカピカの実、四皇・黒ひげがヤミヤミの実など、そうそうたるメンバーが食べているのである。
そして、超人系は動物系と互角、同列の存在であると作中では語られてきたが、近年では能力のインフレ化が進行している。たとえば、一定の空間内の対象者の人体を自由に改造できるオペオペの実、対象者をおもちゃにして記憶を消すホビホビの実など汎用性が高く、シンプルに能力を駆使するだけでも勝てるような悪魔の実が増えてきてしまったのだ。
そういう背景があり、超人系や自然系に比べると、やはり動物系は相対的に見劣りしてしまうのではないだろうか。
動物系の能力の真骨頂は動物の姿に変わり、その力を発揮することだが、能力の応用力、意外性、厄介さ、どれをとっても中途半端というイメージも……。
トリトリの実のように空を飛べるなどのモデルとなった動物の能力を使えることもあるが、超人系のフワフワの実のように能力が類似したほかの悪魔の実が登場することもある。これでは動物系の能力が微妙と言われるだけではなく、悪魔の実自体のアイデンティティも確立されないため、弱い、微妙というレッテルが張られても仕方ないのかもしれない。
■元々のフィジカルが強いキャラクターが現れてしまった
そして、動物系の能力の最たる特徴が身体強化であるが、その恩恵も薄らいできている感が否めない。なぜなら、そもそもの肉体が強すぎるキャラクターも少なくないからだ。
筆頭なのは、主人公ルフィだろう。何度強敵に倒されてもその強靭な肉体とスタミナで立ち上がるルフィは確かにかっこいい。しかし、動物系の身体強化の優位性がかすんでしまうほど、ルフィは頑丈すぎるのだ。主人公という作中最も目立つキャラクターがタフすぎるせいで、動物系の身体強化という特徴が認識しにくいのである。
また、ルフィの祖父ガープや海賊王ゴールド・ロジャーの右腕レイリーなど、非能力者でありながら、圧倒的な実力を兼ね合わせているキャラクターとして有名。覇気を操り、悪魔の実の能力者に対しても全く引けを取らない活躍を見せている。
ここまで振り返ると、動物系のアピールポイントの影の薄さを意識せざるをえない。せっかくの身体強化も、並み居る強豪の前では突出した特徴にはなりえないのである。
■動物系にはかませ犬的なキャラクターが多かった……?
動物系にはかませ犬的なキャラが多い印象もある。
たとえば、コミックス第17巻~23巻のアラバスタ編に登場したイヌイヌの実の能力者チャカ、トリトリの実の能力者ペルは、王国内で暗躍するバロックワークスに対して一矢報いるも、まるで歯が立たなかった。
ほかにも、コミックス第15~17巻のドラム王国編で登場するウシウシの実の能力者ドルトンも、圧政を強いる主君ワポルに反旗を翻すもあっけなく投獄されてしまう。特にドルトンは作中初の動物系の能力者であったため読者の目には、“動物系はかませ犬”という印象を与えてもおかしくはなかっただろう。
また、カメカメの実の能力者・ぺコムズが不意打ちで半殺しにされる、ゾウゾウの実の能力者・ジャックが象主(ズニーシャ)に一撃で葬られるなどもあった。
だが、現在『週刊少年ジャンプ』で絶賛連載されているワノ国編において、動物系の悪魔の実の能力者を主軸とした百獣海賊団がメインの敵となっているのだ。
総督のカイドウはウオウオの実 モデル“青龍”の能力者であり、巨大な竜の姿で麦わらの一味に立ちはだかる。そのほかにも、所属している悪魔の実の能力者は500人を超え、そのほとんどが動物系で占められているのだ。そんな百獣海賊団は白ひげ海賊団解散後、最強の海賊団として“偉大なる航路(グランドライン)”後半の海・新世界に君臨している。
カイドウ、そして百獣海賊団が大暴れしているワノ国編で、動物系の評価が再び上がっているとも言えるだろう。