「笑わせる」のではなく「笑われる」芸人が絶滅寸前となりつつある今のお笑い界にチョッピリの "物足りなさ" を感じてしまうのは、はたして私だけなのか?

コラム

 

親愛なるcitrus読者の皆さま、あけましておめでとうございます。

 
旧年中はこんなゴメスの極私的なコラムに目を通してくださり、本当にどうもありがとうございました! いよいよ還暦を迎える2022年ではありますが、今年もストイックにマイペースを貫きとおし、毎日一本(日曜・祝日を除く)途切れることなく、極力平均点の高い文章を寄稿できるよう精進しますので、例年と変わらずのご贔屓のほど、ヨロシクお願いいたしますm(__)m

 
ってなわけで、今回の年末年始もとくに目新しい予定があるでもなく、朝からビールとかスパークリングワインとかを飲みながら、空腹感を一度も感じることなくのんべんだらりと眼前にある食える物を口に入れては、たま〜にサウナやジムで汗を流しながら、大半はテレビの前でごろんごろんしていた“いつも”の私であったが、相変わらず大御所から中堅、新人……までオールスターなお笑い芸人の方々がこれでもかという勢いでひっきりなしに登場しておりました。もちろん「ひっきりなしに登場しておった」ってことは、視聴者の需要がある(と、少なくとも制作サイドが判断している)わけで、たしかに昨今の芸人サンは個々のスキルも総じて高く、誰もが自身が与えられた場を大きくスベることもなく器用に切り盛りしていた印象だ。

 
そんななか、昨年の12月26日に放送されたラジオ番組『土田晃之 日曜のへそ』(ニッポン放送)に、お笑いトリオ『ダチョウ倶楽部』の上島竜兵(60)が出演し、「還暦を迎えて思うことを語る」という場面があったのを『スポニチAnnex』が後追いで報じていた。とりあえずは、そのあらましを以下に紹介してみよう。

 

 
(「今年一年を振り返って」というテーマで『ダチョウ倶楽部』のリーダー・肥後克広が)「ここ数年はね、現状維持で何もなくすーっと流れていって。悪いことも良いこともあって、流れていくんだけど、今年は違ったのよ。この上島竜兵が還暦を迎えた。この芸風で60歳まで芸人をやり続けられたって、奇跡だと思いませんか?」

 
(↑の肥後の発言を受け、上島が)「これといった芸があるわけじゃないしな、何もないもの。ただ熱い風呂に入って出てきたり、熱いおでんを顔に当てられたりしてるだけだろ。飛ばされたり、裸になってウロチョロしたりさ。それが『芸になってる』みたいになっているのは、許されてる感じはするよな」

 
(パーソナリティの土田が)「(映画『浅草キッド』で)深見(千三郎)さんが『笑われるんじゃねえぞ。笑わせるんだよ』って言うんですけど。(そのセリフを聞いて)上島さんが言ったのが『笑わせてるんじゃねえよ。笑われるんだよ』って…それはそれでかっこいいなと思って」

 
私も土田のこの感想にものすごく同意する。先にも申したとおり、昨今の芸人サンは誰もがいかにも頭が切れて、たとえ面構えや体型が歪であっても服一枚脱ぐにしても如才なくそのビジュアルやタイミングを緻密に計算し尽くし、「笑わせる」ように最大限努めているさまが見てとれる。年々高まるコンプライアンスの壁も一因なのかもしれないが、「存在自体がとにかく面白い」といった芸人サンがめっきり減ってしまった気がしてならない。いや……「めっきり減った」どころか、もはや上島竜兵は「笑われる芸人」と呼べる“最後の砦(とりで)”なのではなかろうか。

 
そして、古い考え方なのかもしれないが、やはり私は「笑われる芸人不在のテレビ」には一抹の寂しさを感じてしまう。ゆえに、順調な健康状態なら、おそらく私と同時期にお亡くなりになるであろう上島竜兵殿には、ぜひとも「お笑い界の絶滅危惧種」として現役のまま人生のゴールまで逃げ切ってもらいたいと、切に願うのである。

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