【2021年・恋愛ドラマベスト3】 3位『リコカツ』、2位『大豆田とわ子』、1位は…!?

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citrus 堺屋大地

 

恋愛コラムニストであり、『Smart FLASH』(光文社)でドラマ批評連載を持つドラマウォッチャーの筆者が、2021年の恋愛ドラマを振り返り、ベスト3を独断セレクトしました。第3位は『リコカツ』、第2位は『大豆田とわ子~』、栄えある第1位は…!?

 

 

■第3位/『リコカツ』(TBS系/4月期ドラマ)

北川景子さん演じる出版社勤務の編集者・水口咲と、永山瑛太さん演じる堅物で家訓を重んじる航空自衛隊員・緒原紘一の“交際ゼロ日婚”夫婦は、結婚早々に相性が合わないことが発覚。そんな二人の“離婚に向けた活動”の日々を描いていたのが『リコカツ』です。

あえて辛口で言うなら、『リコカツ』でやっていたのは“よくあるラブコメ”。ソリが合わない男女双方がツンデレを発動して罵り合いながらも、徐々にお互いの魅力に惹かれていくという、ラブコメドラマでよく見かけるセオリーどおりの王道ストーリーでした。

しかし本作が秀逸なのは、やっていることは痴話喧嘩の絶えないごくごく普通のラブコメにもかかわらず、そこに“新婚早々にリコカツをしていく夫婦”というエッセンスを加えることで、結末がどうなるか読めなかったところでしょう。

離婚に進んでいくストーリー構造のため、ラブコメのセオリーどおりにひっつくのか、それともタイトルどおりに別れてしまうのか、どちらになるのか読めないという“引き”の強い作品でした。

ちなみにネタバレになりますが、ストーリー中盤の第6話ラストで、紘一が役所に離婚届を出し、二人は婚姻関係を解消してしまうのです……。視聴者から見れば二人は恋愛感情的に惹かれ合っていたのに、離婚という選択をしてしまったシーンは、2021年の恋愛ドラマ随一の切ないシーンだったかもしれません。

 

 

■第2位/『大豆田とわ子と三人の元夫』(フジテレビ系/4月期ドラマ)

『大豆田とわ子と三人の元夫』は、3回の離婚経験がある主人公・大豆田とわ子を松たか子さんが演じるロマンティックコメディです。とわ子に未練があったり気にかけたりしている3人の元夫たちには松田龍平さん、東京03・角田晃広さん、岡田将生さんがキャスティング。

大御所脚本家・坂元裕二さんによって生み出される、とわ子と元夫たちの緩急の効いたセリフのキャッチボールが小気味よく、センス抜群の大人な会話劇を存分に楽しめる作品でした。

そんな本作、恋愛ドラマとして神がかっていたのが、最終回1話前の第9話でしょう。

物語後半の恋のお相手として、第6話の最後から第9話まで登場したオダギリジョーさん演じる小鳥遊大史。

とわ子は小鳥遊から「人生を一緒に生きるパートナーになってくれませんか」とプロポーズされていました。そして、部屋で楽しげに会話を交わし食事をしている最中、とわ子が「小鳥遊さん……私は……」と切り出したところで場面転換。シーンは屋外の歩道に変わり、二人がハグをして、とわ子が小鳥遊の頬にキスをして別れるのです。

仲睦まじくハグ&キスをしているので、一見するとプロポーズを受け入れたのかとも思えましたが、そこまでのストーリーの“文脈”を踏まえて“行間”を読むと、とわ子がプロポーズを断ったのだと理解できるという粋な演出でした。

また、第9話では松田さん演じる一番目の元夫との関係性にも決着がつきます。

とわ子と一番目の元夫はいまでもまだ想い合っているかのような描写があったのです。が、とわ子は彼に「だからあなたを選んだ。…あなたを選んで、一人で生きることにした」と復縁がないことを明言したのです。

その後、二人が“もし結婚生活が続いていたらどんな夫婦になっていたか?”という会話をはじめると、3分半以上のたっぷりの尺を使って、その十数年分のifストーリーが描かれます。

ロサンゼルスを舞台にした恋愛映画『LA LA LAND』(日本公開2017年)のラストを彷彿するifストーリーは、一番目の元夫との“物語”がある意味そこで完結し、そこからまた新たな“物語”が始まることを想起させる上質な演出でした。

 

 

■第1位/『最愛』(TBS系/10月期ドラマ)

サスペンスラブストーリー『最愛』。

製薬事業で将来を有望視される主人公の女社長・真田梨央(吉高由里子さん)は、15年前に起きた殺人事件に関係しており、その過去にも関連がある現在の連続殺人事件の重要参考人となってしまいます。そして15年前に梨央と恋心を抱き合っていた宮崎大輝(松下洸平さん)は、梨央の関与が疑われる事件を追う警視庁の刑事になっていました。

本作は殺人事件というサスペンス要素と、大輝と梨央の恋愛要素を絶妙なバランスで融合させていますが、職業柄、筆者は恋愛要素重視で視聴していました。そして、筆者は恋愛コラムニストという肩書のもと、『最愛』を“2021年のベスト1恋愛ドラマ”として推しています。

なぜなら『最愛』はサスペンスとしても見応え充分ですが、それ以上に恋愛ドラマとしての完成度が非常に高かったからです。

特に筆者が全10話のなかでも一番好きで、なおかつ恋愛ドラマ史上に残る名シーンだと感じたのは、第8話の線路脇のシーンでした。

線路枠をとぼとぼと歩く大輝と梨央。大輝が「二人で考えんか? これからのこと」と半プロポーズのような言葉を言うと、「私も同じこと思っとった」と梨央も応えますが、事件が解決し目標の薬開発が成功してからだと伝えます。そんなとき電車が横を通り、なにか言いかけた大輝の言葉が轟音に搔き消されそうになり……。

恋愛ドラマにおいて、恋仲の男女を引き裂く舞台装置として電車が登場することは往々にあり、せっかくの告白が電車の騒音で聞こえないというのは定番演出。けれど、本作はそういったセオリーを逆手に取ったのです。

騒音で言葉が掻き消されそうになるも、大輝は負けじと声を張って、「先のこと! 先のこと考えたい相手は他におらんでっ!!」と念押し。大輝の男らしい宣言にクスッと笑う梨央。筆者はその上質な“最愛”シーンに年甲斐もなくドキドキしたものです。

本作は最終回の終幕の仕方が非常に見事だったことも、ベスト1に挙げる大きな要因。ここでは具体的な結末には言及しませんが、サスペンスパートの事件の謎がきれいに解き明かされただけでなく、恋愛パートも多くの視聴者が納得のいく美しいラストになっていました。

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堺屋大地

恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。これまでに『女子SPA!』(扶桑社)、『スゴ得』(docomo)、『IN LIFE』(楽天)などで恋愛コラムを連載。現在は『文春オンライン』(文藝春秋)、『週刊女性PRIME』(主婦と生活社)、『日刊SPA!』(扶桑社)などにコラムを寄稿している。LINE公式サービス『トークCARE』にて恋愛相談を受け付けており、カウンセラー1位(2018年6月度)。『5時に夢中!』(TOKYO MX)などに恋愛に関するコメント出演経験もあり。中高時代はスクールカースト的に4軍男子(非モテ)。そんな4軍マインドをベースに真摯に恋愛を分析。Twitter @SakaiyaDaichi

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