「関東と関西とでは "別もの" な食べ物ランキング」で一位に輝いた「たぬき」から垣間見られる地域性の違いとは?
ランキングの専門サイト『ランキングー!』が『関東と関西「別もの」で驚く食べ物ランキング』なるタイトルの記事を配信していた。
『株式会社CMサイト』がインターネットリサーチをした結果を集計したもので、有効回答者数は10〜60代の男女12,637名──「どーだっていい」と言ってしまえばマジどーだっていいテーマであり、この手のランキングサイトの編集部に日々はたしてどれくらいの記事作成ノルマが課せられているのかは知るよしもないが、「じつは高学歴なお笑い芸人ランキング」だとか「実家が農家の芸能人ランキング」だとか……の「どーだっていい」よりは、こういった "身近なあるあるネタ" の「どーだっていい」のほうが私個人としては読んでいてほのぼのしい気分になれる。ってなわけで、さっそくその「TOP10」を見てみると……???
1位:たぬき
2位:ぜんざい
3位:ねこまんま
4位:イカ焼き
5位:肉じゃが
6位:ところてん
7位:どん兵衛
8位:うなぎのかば焼き
9位:ひなあられ
10位:すき焼き
3位の「ねこまんま」(おもに、関東では「鰹節かけご飯」、関西では「みそ汁かけご飯」のことを指す)、4位の「イカ焼き」(おもに、関東では「イカの丸焼き」、関西では「阪神百貨店地下で売っているイカ入りのお好み焼き」のことを指す)にも、少なからず関東と関西の "認識の差" に驚きはあるが、もっともそのズレの幅が大きいのは、やはり1位の「たぬき」であろう。
関西人の私にとって、「たぬきそば」とは「甘辛味の三角形のお揚げが乗っているそば」のことである。それはすなわち関東で言うところの「きつねそば」のことで、(原則として)関西には「きつねそば」と「たぬきうどん」
いっぽう、関東の「たぬき」とは、天ぷらのタネを抜いた「タネ抜け」が「たぬき」に転じた……というのが通説となっており、天かすをふりかけたそばやうどんを「たぬきそば」「たぬきうどん」と呼んでいる。
つまり、いささか曲解気味になってしまうのかもしれないが、関西は「うどん⇄そば」といった反意語(的なもの)に「きつね⇄たぬき」といった反意語(的なもの)をかぶせるという、いわゆる "ギャグ" によるネーミングを由来とし、対して関東は「タネ抜き→たぬき」という "洒落" によるネーミングを由来としているのが、関東人と関西人の気質の違いを端的に象徴していて面白い。
さらに、同じ関西でも京都だけは「味付けなしの薄揚げと九条ネギを細かく刻んで熱々のあんをかけたそば、もしくはうどん」を「たぬき」とする独自路線を貫いている点も、また興味深い。そう。畿内でも雅(みやび)な京都人だけは、いかにも関西人(正確には大阪人?)チックな「すぐギャグに走る」という "お調子者っぽい感じ" をいささか小馬鹿にしている?……のかもしれない。
……と、私の思考を刺激して促し、仮にそれがたとえまったくの見当はずれな方向へと突っ走ってイッてしまったとしても(笑)……こんなにもあれこれとした妄想を掻き立ててくださる非生産的なランキングは「いつでも大歓迎!」なのであった。