『餃子の王将 vs 超一流料理人』編を観て以来、『ジョブチューン』の "正しい見方" がちょっぴりわかってきた件について

コラム

 

今年のはじめあたりにここcitrusへと寄稿したコラムで、私はわりと辛辣な論調で『ジョブチューン〜アノ職業のヒミツぶっちゃけます!』(TBS系)の看板コーナー「◯◯の人気商品を一流料理人がジャッジ!」シリーズに感じる不快さについて延々と語った……記憶がある。その 「不快感の理由」をおおよそに解説すれば、

 

「一流」とされる料理人とチェーン系飲食店の料理人とでは、そもそも目指す "ゴール" の質が異なっている…と、私は思う。誤解を恐れずに言ってしまえば、前者は「求道的な美味しさ」を目指し、後者は「リーズナブルかつ最大公約数的な美味しさ」を目指す──つまり、スポーツに例えると、同じ「料理人=アスリート」ではあっても、まったく違ったフィールドで試行錯誤に全力を費やす「プロ野球選手」と「プロサッカー選手」のようなものであり、「メジャーリーガー」と「高校球児」といった比較はそぐわない……二者のあいだに優劣は存在しないのだ。

 

したがって、チャレンジャー側の料理を「合格」「不合格」の形容で評価するのも、私としては一抹の疑問がよぎってならない。「好き・嫌い」「合う・合わない」とかじゃダメなのか? そこまで理不尽なルールに縛られた "異種格闘戦" にエントリーするなら、チャレンジャー側も、悠然と椅子にでもふんぞり返って、その "エキシビジョン・マッチ" の経過を見守ってもかまわないのではなかろうか。

 

……みたいな感じで、つまりが「番組の企画自体が問題なのでは?」という問題提起を総括とする……ような内容であった。

 

だがしかし! 2月19日に放送された『ジョブチューン』を観て、こんな自問自答の火種がゴメスの胸の内にぐずぐずと燻(くすぶ)りはじめてきた。私のこれまでの同番組の(「vs企画」)の)見方は、やや間違っていたのではないか……と。

 

この日の特集タイトルは「『餃子の王将』従業員イチ押しメニューvs超一流料理人のジャッジ」(※「ファミマの直巻和風ツナマヨネーズおむすび事件」であんだけ激しく炎上したばかりなのに「まだ懲りずにやるのか!?」ってとこに、まずは感心した)──過去に登場したのが比較的(私にとっては)中立的な立場で客観視できるコンビニやチェーン系飲食店だったのに対し、今回は私が40年以上も前からず〜っとお世話になり続けてきた、高校時代には餃子を百個食べてタダにしてもらったこともある(※あのころはこうした大食い無料系サービスもやっていたのだ)、あの『餃子の王将』である!

 

もちろん、還暦間際に到った現在でも、相当な頻度でヘビーユーズさせていただいている。「日本で一番美味しい餃子は?」と問われれば、いつでも淀みなく「(京都)王将の餃子!」と答えることができる。ほかにも『餃子の王将』の従業員の皆さまが「イチ押し」してきた「ベスト10」内には、炒飯(※←にホンのちょっぴり餃子のタレをかけて食べるのが大好きなのだ!)・鶏の唐揚げ・レバニラ炒め・酢豚・麻婆豆腐……ほか、私が愛してやまない絶品メニューがズラリ名を揃えている。

 

お笑いトリオ『ネプチューン』をはじめとする、ゲスト出演していたタレントの面々も売れていないころに散々「お世話になった」クチなのだろうか、心なしかいつもより『餃子の王将』への声援が熱め……だった印象がある。

 

私ももし仮に「超一流料理人」と銘打たれているヒトたちが餃子や炒飯に「不合格」と総合的なジャッジを下した場合は、その店までわざわざ足を運んで、実際に餃子なり炒飯なりを食べてから「やっぱ(京都)王将のほうが美味いやんけ!」ってことを自分の舌で証明したのち、(けっこうマジで)一大キャンペーンを展開するくらいの覚悟であった。(※結果は10商品中「野菜たっぷり五目あんかけタンメン」以外の9商品が「合格」となった)

 

そして、そんな風に思い入れたっぷりなお店を心底から真剣に応援しながら同番組を観ていると……コイツがじつに面白かった! まるで、さしてサッカーに興味のない私が、W杯になったらつい日本代表の勝利を手に汗握りながら願ってしまうようなもので、こうも明確に「ホーム」と「アウエー」が分かれると……もっと露骨な表現をすれば、こうもわかりやすいかたちで「ヒール」を設定してくれると、「巨悪に単身で挑む正義の味方」的な判官贔屓の心理も働くのか、逆に "ジャッジされる側" と "ジャッジする側" の理不尽な上下関係も不思議とまったく気にならなくなるのだ。

 

また、本コーナー中でヒール役を演じてくださった「超一流料理人」の面々も、たとえ「不合格」を出しても、ポジティブなアドバイスを含んだ "愛のあるコメント" をなされており、一つの物語として十分と楽しむことができた、大変素晴らしい出来栄えであった。「悪役のガミラス星人も本当は悪いヒト(宇宙人)たちではなかった…のかも」といった『宇宙戦艦ヤマト』パターンも、目新しさこそはないものの、やはりバトルモノのディテールに厚みを加えるには王道の手法なわけだし……?

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