『真犯人フラグ』の公式後日譚…真犯人視点で超難解事件が超スッキリ ※ネタバレあり

コラム

citrus 堺屋大地

 

恋愛コラムニストであり、『Smart FLASH』(光文社)でドラマ批評連載を持つドラマウォッチャーの筆者が、3月に完結した人気ミステリードラマ『真犯人フラグ』(日本テレビ系)のHuluオリジナルストーリーを紹介します。

 

 

■真犯人が時系列順に語ってくれるから脳内整理できる

 

昨年10月から今年3月までの約半年間、全20話で放送された西島秀俊さん主演の連続ドラマ『真犯人フラグ』。

妻・真帆(宮沢りえさん)との夫婦仲がよく、高2女子と小4男子の子供がいる平凡なサラリーマンだった相良凌介(西島さん)。しかし、突如妻と二人の子供が謎の失踪をし、劇中のSNSやワイドショーなどでは、凌介が悲劇の夫を演じている家族殺害犯=真犯人だと疑われてしまい……というのが序盤のストーリーでした。

さっそくネタバレになりますが、3人の失踪の真相は “妻・殺害” 、 “娘・家出” 、 “息子・誘拐” という別々の事件が偶然同日に発生していたというもの。そして、3つの事件は当初はバラバラのものでしたが、妻を殺害した凌介の親友であり週刊誌編集長の河村俊夫(田中哲司さん)が黒幕的に暗躍し、捜査を撹乱していたのでした。

最終話までにほぼ全ての伏線が回収されたので謎は解けたものの、同時発生した3つの事件がどんどん複雑に絡み合っていく展開だったため、全話視聴していても全貌を正確に把握するのは超難解。

そんな超難解なストーリーをスッキリ整理してくれるのが、Huluオリジナルの「アフターストーリー」(前編・約21分/後編・約13分)です。

 

この「アフターストーリー」は文字どおり最終回後のエピソード。主人公・凌介の口から、事件後に残された家族たちがどう暮らしているかなどが語られるシーンも貴重ですが、やはり注目は実質的に真犯人と言える河村の手記。

前編では、真帆を殺害するまでの事件の経緯を真犯人自らが時系列順に回想するため、ゴチャゴチャに絡まっていた糸が解けて、きれいな一本線になるようなスッキリ感が得られます。登場人物が非常に多い本作ですが、真犯人視点で事件にかかわった人たちの動きがまとめられており、真犯人がそのときどきで何を考えていたかも描かれているのです。

この「アフターストーリー」で明らかになる新事実はあまりないのですが、いかんせん本編は多様な登場人物たちの思惑が絡まって複雑すぎたため、真犯人視点で時系列を追っていくことで、散らかった部屋がきれいに整理整頓されたかのように理解しやすくなるでしょう。

後編は河村の感情や本心をさらに深く掘り下げていく内容。昔から恋愛感情を抱いていた真帆への固執よりも、実はむしろ凌介への固執(嫉妬心)が強かったために起こった事件だったということを、河村自らが語るのです。

そして、1年後に凌介のもうひとりの親友であるバー店長・日野渉(迫田孝也さん)が、刑務所にいる河村に面会に行き対話するシーンも必見。凌介から預かっていた伝言などを日野から聞いた河村は、どういう反応を見せたのか……。

 

――『真犯人フラグ』という作品を振り返りたい方、より深く理解したい方はぜひ「アフターストーリー」をご自身の目で確かめてみてください。

 

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