言葉のプロや政治家でさえ間違えがち? 「させていただく」の乱用についての指摘にドキッとさせられる

コラム

 

「ライフ・漫画・エンタメの3カテゴリーで、暮らしと話題と気づきをお届けすること」をコンセプトとするウェブメディア『大人ンサー(オトナンサー)』が、「させていただく」との丁寧語がやたらと乱発されている現状を憂う……みたいな主旨の記事を配信していた。

 

「させていただく」や「させていただきます」の増加傾向はビジネスシーンどころか、テレビや国政の場ですら一般的になりつつある……と指摘する同記事の筆者であるコラムニスト兼明治大学客員研究員の尾藤克之さんは、政府の使用頻度がとくにここ10年で激増していると分析し、そのタイミングは、

 

「民主党の与党時代(2009年〜2012年)と重なる」

 

……と提言する。その大胆(?)な仮説を裏付ける当時の事例の一部を、同記事中から引用 "させていただこう"。(※正確には「引用してみよう」?)

 

2009年といえば、民主党の鳩山由紀夫内閣が発足した時期です。筆者が違和感を覚えたのが、「代表を務めさせていただいております」(※正確には「代表を務める」)「質問させていただきます」(※正確には「質問します」、あるいは「質問いたします」)という国会答弁でした。

(中略)正義の味方の民主党が、国家予算のムダづかいをする役人を懲らしめる場面は印象に残りました。このときに多用されたのが「この事業は中止とさせていただきます」(※正確には「中止といたします」)でした。民主党は選挙という国民の負託を経て政権を奪取しました。「政治家は言葉が命」といわれますが、(結果としては)言葉を安易に捉えすぎていたように思います。

 

「言葉のプロ」であるはずのテレビのアナウンサーでも、たとえば料理番組で、

 

「それではいただかさせていただきます」(※正確には「それでは、いただきます」)

 

「いまから召し上がらさせていただきます」(※正確には「遠慮なく頂戴します」)

 

……なんて風な、いかにも不自然な二重敬語を平気で使っているという(※二つめは二重敬語云々以前のヘンな丁寧語だがw)──そんな風潮を嘆く尾藤さんは

 

最近、スマボで文字を書くことが多くなったせいか、意味不明な言葉や非礼な文章が増えたように感じています。この機会に、「大人にふさわしい文章力」を身に付けたいものです。

 

……と、美しい文体で記事を〆る。

 

アナウンサーと同様、一応は「言葉のプロ」の端くれの一人である私としても一瞬ドキッとさせられる、「我が振り直す」にはちょうどいい内容の読み物であった。

 

念のため、ここcitrusにアップした過去のコラムをざっと読み返してみると……少なくともここ数ヶ月くらい、「させていただく」の誤用は……おそらく……なかった気がする。ホッとした。こう見えて、そこらへんはけっこうデリケイトに注意を払っている(つもり)なのだ。

 

ただ、多くのヒトが知らず知らずのうち「させていただく」に、ふと頼ってしまうその心情はチョッピリわからなくもない。

 

「とりあえず、言葉を“より”丁寧にしとけば、上下が発生する人間関係も円滑になるし、人様からお叱りを受けることもないだろう」

 

……といったディフェンシブなメンタル作用がおのずとはたらき、つい二重にも三重にも丁寧語を重ねてしまうのだろう。

 

尾藤さんが記事の最後でおっしゃっているとおり、「最近、スマホで文字を書くことが多くなったせい」で、若者はおろかイイ大人のあいだでも "間違った敬語" が横行しているのはたしかである。私個人としては、それはもうしかたがない、ある種の "トレンド" のようなものだと認識している。が、せめて政治家やアナウンサーや、私ども文筆の職に就く者たちだけは、その誤ちを正す役割を "普段の仕事" によって担うべきなのではなかろうか。

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