【90年代…夭折のカリスマアーティストたち】hide、坂井泉水、尾崎豊を振り返る
90年代と言えば、カリスマ的人気を誇ったアーティストが今以上に存在しており、日本の音楽業界全体が賑わっていた時代。しかし、なかには夭折して既にこの世におらず、伝説と化した人物も。そこで今回は、今は亡きカリスマアーティストを3人紹介したい。
■hide/圧倒的なセンスでヴィジュアル系の開祖に…
赤い髪にゴージャスな衣装。ヘヴィメタルバンド「X JAPAN」の元ギタリストとして知られるhideは、同バンドのなかでも際立つ強烈なヴィジュアルと個性を持ったアーティストだった。バンドの核であるToshiやYOSHIKIとはまた違う、特別な人気があったことで知られている。
X JAPAN時代はバンドのヴィジュアル面を担当し、解散後もソロ活動で過激なファッションを着こなすなど視覚面からロックのイメージを変えようとしていたhide。そのため、化粧と派手なファッションに身を包むヴィジュアル系というジャンルの創設者だと言われており、国内外で彼のファンだと公言するアーティストは少なくない。
そんなhideは新バンド「hide with Spread Beaver」の結成を発表した直後、1998年5月2日に自宅の寝室で亡くなっているのが確認された。彼の死は大きな悲しみを呼び、後追い自殺をするファンもいたという。今も彼の墓前にはたくさんの人が訪れ、その早すぎる死を悼んでいる。
■坂井泉水/死してなお永遠に愛される世紀末の歌姫
「負けないで」、「揺れる想い」、「マイ フレンド」がミリオンセラーを超えた音楽ユニット「ZARD」。そのボーカルである坂井泉水は、持ち前の透明感のある歌声と聴く人の胸を打つような繊細な歌詞が特徴的な歌手である。
90年代の女性ボーカルアーティストのなかで、最もCDシングルの売上が高い坂井。アルバムの売上も1992年の「HOLD ME」から1999年の「ZARD BEST 〜Request Memorial〜」まですべてミリオンを達成しており、史上最多記録を保持しているのだ。
坂井は2007年5月27日に脳挫傷で逝去。死因は、階段からあやまって転落し後頭部を強打したという見方が強い。彼女の死後も、ZARDに関するイベントの開催、アルバムの発売がされており、いまなお彼女の歌声を愛している人が多いのだと実感させられる。
■尾崎豊/反権力から真実の愛へ……孤高のシンガー
伝説のシンガーは誰かと聞かれ、尾崎豊の名をあげる人も多いことだろう。1983年12月1日にアルバム「十七歳の地図」、シングル「15の夜」でデビューした尾崎は、社会への反抗的な曲を歌った姿勢から、反権力のシンボルとして若者の間で人気となり社会現象を巻き起こした。
「卒業」など初期の曲では、「自由」や「支配への抵抗」というテーマで曲を作っていたが、20代を境に「愛」や「罪」といった内容にシフトしていくことになる尾崎。たとえば、1991年にリリースされた尾崎の代表曲「I LOVE YOU」はその典型であろう。だが、曲の主題が変わったとはいえ、尾崎らしいハスキーな歌声とまっすぐな歌詞は健在であった。
1992年4月25日早朝、尾崎の住むマンションから500メートルほど離れたところに全裸で倒れている姿を発見される。病院に運び込まれるも、その後死亡が確認。後日、葬儀・追悼式が行われ、その数は4万人近く(諸説あり)に及んだという。