無理やりな断捨離はしなくてもいい? 川上麻衣子から学んだ「なにを捨てるか」ではない「なにを残すか」という逆転の発想

コラム

 

「断捨離」という言葉が流行り、一般的にもすっかりと認知されはじめたのは、一体いつごろからだっただろう? 

 

昨今では整理整頓術的な指南本からビジネスの改革やコミュニケーションの円滑化などを促す自己啓発書、果てには恋愛マニュアルに到るまで……「断捨離」すなわち「単に不要な物を処分するだけではなく物にとらわれずに生きていく」という考え方(※元々はヨガの「断行」「捨行」「離行」という3つの行いに由来する…らしい)が、これらのノウハウの中心的なキーワードとなりつつある。

 

(もしかすると、我々世代には共通する傾向なのかもしれないが)私はこの「断捨離」ってヤツがどうも上手にできないタチで、懇意にしているアラサーの女性からは、たとえば

 

「新しい靴下を一足買ったら、必ず古い靴下を一足捨てること!」

 

……なんて風に、けっこうに厳しい(?) "ノルマ" を課せらているのだけれど、「まだ使えるじゃん」「わりとお気に入りだし」……などと(そのアラサー女性には内緒で)とことんヘビーユーズドしてしまい(※穴が空いたらさすがに捨てるw)、私のワードローブ内にある靴下のコーナーはパンパンに膨らんでいくいっぽうだったりする。

 

こうしたなか、幼少期から「物は大事に使いましょう」と徹底的に教育されてきた「モノを捨てるのが苦手」な私(ら世代?)が抱く「最新の断捨離トレンドに乗り切れない」というコンプレックスをちょっぴり払拭してくれる、素晴らしい読み物に出会うことができた。『ESSE(エッセ)online』が配信していた女優・川上麻衣子(56)のインタビュー記事である。

 

彼女の名が世に知れ渡ったのは、私と同世代の方々ならもうご存知のとおり『3年B組金八先生』(※第2クール・1980〜1981年)で、当時はまだ10代半ばだったにもかかわらず "年不相応" な大人の色香をただよわせ、じつはスウェーデン出身だったり、その後、突如ヘアヌード写真集を発売したり……と、独特かつ奔放なスタイルで女優としてのキャリアを積み上げ、一部のマニアックな層のハートを確実に鷲掴んでいた。かくなる私も「好きな女優は?」と問われた際は、悩みに悩み抜いた末「川上麻衣子」と答えていた時期もあった。

 

そんな川上麻衣子は、やはり只者ではなかった。とりあえずは先述したインタビューから、「断捨離できない私」のもどかしさを慰めてくださった箇所を一部抜粋してみよう。

 

ものを捨てるルールについて、基本的には「愛を感じないものは捨てること。そして思い出深いものも写真に撮って残し、捨てること」となにかで読み、なるほどと思っていたのですが、やはり写真では残せない、手触り、においが脳みそを刺激します。

「捨てる」ことは簡単だけれど、一度捨ててしまったら消えてしまうものたちを前に、「どのくらいの分量まで、私は持つことを許そうか」と、まずは60歳までのわずかな時間に決断し、「捨てる」より前にまずはなにを「残すか」の作業を始めようと思います。果たして還暦までに間に合うのか。自分のルーツを探る旅だと思い、挑んでみます。

 

「なにを捨てるかを考えること」と「なにを残すかを考えること」は、結果のみから遡れば "同じ作業" になってくる。しかし、発想としてのスタート地点は完全に "真逆" であり、このような着眼に立っただけで「モノを捨てられない私」としては、ずいぶんと気分が楽になる。

 

今年で60歳になってしまう私としては、川上麻衣子が自身に設定した「還暦までに〜」といったモラトリアムをあと少々引き伸ばし、65歳までには「残しておきたいモノ」を選別する作業を、のんびりと楽しんでいきたい。

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