「おなかがいたい」「あたまがいたい」…は「抑うつ」との関連も。夏休み明けの子どもの変化に気づいたら、3つのキーワードを思い出してください

コラム

 

 

東海大学客員教授の岸田雪子氏が子育て周辺の課題を考える連載「Bloom Room」。笑顔の “つぼみ” を花開かせる小部屋です。今回は「夏休み明けの子どもの不調サイン」について。

 

長い休みが終わる頃は、心や体の調子が良くない、ということが、子どもにもあります。子どもの場合は、言葉に表されることなく、心の不調が身体の不調となって現れることも少なくありません。ですから、2学期が始まるころは、大人の側の注意が必要になります。
例えば、「おなかがいたい」とか「あたまがいたい」といった症状が、実は心の不調とつながっている可能性があります。

 

先日、国立成育医療研究センターが公表した資料によりますと、去年末に行われた調査で、小学校5年生から中学3年生の20%から30%が、頭痛や腹痛などの不調を自覚していたということです。そして、そうした子どもは、「抑うつ症状」の重症度が高いことがわかっています。

 

具体的には、週1回以上「おなかがいたい」「あたまがいたい」「こしがいたい」「めまいがする」といった症状がある子どもの20%から50%が、中等度や重度の抑うつ症状の自覚があるということです。
センターでは、症状が強い場合や、長引く場合は、医療機関に相談することを呼びかけています。また、「うつがある子どもは、自分で助けを求められないことも多いことがわかっている」としています。周りの大人が変化に気づくことが大切だということなのです。

 

私は子どもの育ちをめぐる課題に20年ほど向き合ってきましたが、不調のサインは他にも、「よく眠れていないようだ」「なんとなく落ち込んでいる」「いつもより、食欲がない様子が続いている」といった場合もあります。あるいは、「学校(保育園・幼稚園)に行きたくない」と口にする子もいるでしょう。

 

そうした時、親御さんや周囲の大人は、子どもにどんな言葉をかけると良いでしょうか。
私がお勧めするのは、「どうしたの」です。
この5文字の言葉は、プレッシャーをかけることなく、「あなたのことを心配しているよ。助けになりたいと思っているよ」という大人の気持ちが伝わりやすいからです。

 

優しい「どうしたの」に子どもが心を開いて話しだした場合、大人の側には、どんな心がまえが必要でしょうか。
心理学の言葉では、こうしたとき、「傾聴」と「受容」と「共感」、という3つのキーワードが重要になります

 

「傾聴」は、子どもの話にじっくりと耳を傾けること。途中で口を挟んだりしないよう、注意することが大切です。

 

「受容」は、子どもの気持ちを、そのまま受けとることです。評価を下さず、否定も、肯定もしません。例えば、「おなかいたいんだね」「学校に行きたくないんだね」と、子どもの言葉や様子を、そのまま、良い悪いといった判断を下さずに、ただオウム返しにすることで、子どもは「受け入れてもらえている」と安心することができます。

 

「共感」は、文字通り、子どもの気持ちを自分も一緒に感じるように、寄り添うことです。「おなかいたいの、つらいね」「眠れないのは、しんどかったね」と寄り添うことで、子どもは力づけられます。
「共感」しながら、「学校に行きたくないけど行かなきゃいけないって、困っているのかな」と、子どもの気持ちの整理を、言葉にして手伝ってあげることもできるでしょう。

 

逆に「たいしたことじゃないよ」「甘えるな」とか「どうしてそんなこと言うんだ」などと軽く扱ったり、責めたり、叱ったりする言葉がけは、子どもが助けを求めにくくなるので、避けたいところです。

 

急に学校に行きたくない、と子どもが言ったら、親御さんとしては動揺するのも無理のないことです。子どもの将来はどうなるんだろう、といった不安が頭をもたげるかもしれません。

 

ですが、そうした大人の不安は、今はそっと横に置いておきましょう。目の前の子どもの困りごとを、まるごと受け止めることが、結局は回復へと向かうための近道になるからです。

 

夏休みが明ける今の時期は、10代の自死が1年で最も多くなりやすい時期でもあります。私が所属する株式会社ホリプロでは、苦しい思いを抱える子どもたちに寄り添う【#学校に行きたくない君へ】企画を実施し、子どもたちから募集した質問にもお答えしています。須賀健太さん、東ちづるさんらと共に、私もメッセージを公開しています。悩みを抱えるお子さん、そして親御さんに、少しでもお役に立てるところがあればと思います。

 

最後に、「誰かに話しを聞いてもらう」ということは、大切な一歩になります。困った時に連絡できる場所をご案内いたしますので、ご参考になさってください。

 

【つらいときの相談窓口一覧】
◾#いのちSOS https://www.lifelink.or.jp/inochisos/ 0120-061-338
◾SNS相談/生きづらびっと https://yorisoi-chat.jp/
◾厚生労働省 相談先一覧 https://www.mhlw.go.jp/mamorouyokokoro/
◾文部科学省 子どものSOS窓口 https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/06112210.htm
◾いのち支える相談窓口一覧 https://jssc.ncnp.go.jp/soudan.php

 

 

岸田雪子さんは、子育てと介護のダブルケアの日常を綴ったブログも更新しています。
よろしければ、是非ご覧になってみてください。
>>https://ameblo.jp/yukik042

こちらの記事もおすすめ!
「毒親」にならないために。親を「毒親」にしないために。そして「毒親」から逃げるためにできること

「毒親」にならないために。親を「毒親」にしないために。そして「毒親」から逃げるためにできること

ページトップ