「性的いじめ」「画像拡散」の恐ろしさ…旭川いじめ凍死事件が残した重い教訓。子どもの異変に気付くためのポイント

コラム

元日本テレビ解説委員でジャーナリストの岸田雪子氏が、子育ての身近な悩みや課題を取り上げる新連載「岸田雪子のBloom Room」。笑顔の“つぼみ”を花開かせる小部屋です。今回は、“旭川いじめ事件とSOS“について考えます。

 

雪解けとともに公園から凍死した少女の遺体が見つかる。最悪の結末に衝撃が走った旭川市のいじめ事件は、多くの教訓を残しました。週刊誌報道を見る限り、過去のいじめ事案と類似する点がいくつもあるところが悔やまれるばかりです。いじめ問題を長く取材してきた者として、残された教訓を皆さんと考えたいと思います。

 

今回の事件で際立つのが、性的いじめの恐ろしさです。
旭川市の少女は、中学に入ってすぐに公園で知り合った上級生や他校の生徒と付き合う中で、わいせつな画像を撮影し送らされ、LINEグループで拡散されたといいます。自慰行為の強要もあり、少女はPTSDの診断を受けていたとも伝えられています。

 

性的ないじめは、小学校高学年以降の男女、特に中学生では決して珍しいことではありません。性的な興味が高まる時期です。男子ではズボンと下着を無理やり下ろして動画を取られる、といったこともあります。
加害側は「悪ふざけ」の延長のようにとらえて罪悪感が低いことも事態を深刻にさせます。被害側は自尊心がひどく傷つけられ、自傷行為につながることもあります。私がこれまで取材した自死事案や自死未遂の子どもたちの中にも、性的いじめの被害者は何人もいました。

 

学校での性教育が遅れる日本ですが、子どもたちにはプライベートな部分の大切さを、ぜひ親御さんから伝えて頂きたいと思います。
他人に要求されても絶対に渡さないこと。要求する行為も、画像や動画を拡散させる行為も、児童ポルノ関連の法令違反などにつながる「犯罪」だと教えてあげてください。

 

また、子どもたちが自分は加担していなくても、こうした性的ないじめを見たり聞いたりしたら、大人に必ず伝えるよう、話して頂ければと思います。被害者はその場では笑っているように見えたとしても、心がズタズタに傷つき、画像はネット上で一生消えないのだと、怯えているかもしれません。
性的いじめは、被害者本人は恥ずかしさでいっぱいですから自分から相談することは難しく、発覚が遅れやすいのです。だからこそ、周囲のお子さんの一言が、とても大切です。

 

コロナ禍で、子どもたちの自死が増えてしまったことは大きなニュースにもなりました。
去年は479人と、過去最多の人数です。生活の変化、ストレス、その背景はひとりひとり様々だと思いますが、気になるのが、自死が多い時期が、例年と少し異なることです。

 

子どもの自死は夏休み明けの9月1日ころに増える傾向がありますが、去年は短い夏休みが終わった8月だけでなく、6月にも人数が増えているのです。
去年6月と言えば、緊急事態宣言や、長い休校が終わったあと。今年は一斉休校はありませんでしたが、このゴールデンウイーク明けは、進学や進級をした子どもたちが学校に戻り、新しい環境の中での人間関係の築き方に、悩みを抱えやすい時期です。今一度、ご自身や周囲のお子さんの様子に変化はないか、ご注意頂ければと思います。

 

これまでの取材経験から、いじめが疑われるSOSのサインをいくつか記します。詳しくは拙書もご参照頂ければと思いますが、「もしかして」と思われるところがあった時は、お子さんを問い詰めず、「何があったとしても味方でいること」「力になりたいと思っていること」を伝え、まずお子さんの話に、じっくりと耳を傾けて頂ければと思います。

 

〖子どもの変化に気付くきっかけ〗

 

◎怒りっぽい。集中力がない
◎食欲がない、夜眠れていない
◎友だちづきあいが変わった
◎スマホを急に避けるようになる。逆に、家でも肌身離さず持ち歩く。
◎急に呼び出される。金の使い方が変わる 等


                ~拙書「いじめで死なせない」より

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