【恒例】ほぼ「コロナ川柳」状態と化してしまった「サラリーマン川柳2021」を勝手に論評する!
第一生命保険株式会社が5月27日、例年開催している「サラリーマン川柳コンクール」の第34回(2021年度)のベスト10作品を発表した。
去年から今年にかけてのコロナ禍において、多くのサラリーマン諸兄が時間を持て余していたのかもしれない──今回の応募総数は6万2542句と、前年の5万3194句を大幅に上回ったという。さらに「コロナ」という、これまでの生活様式を激変させた“新しいネタ元”の“導入”が皮肉にも作者たちのクリエイティビティを刺激したのか、従来のサラ川とはまた一味違ったサラリーマンの悲哀をユニークに詠んだ傑作が勢揃いした……との印象だ。とりあえずは、栄えある1位に輝いた作品から。
会社へは 来るなと上司 行けと妻(なかじ/30代男性)
私同様に(笑)「サラリーマン川柳のご意見番」を自任する漫画家のやくみつる氏は、
「最大公約数的なものが(1位に)来たなという印象でしたね。仕事に関する部分で、変わると思わなかった勤務形態が変わったというのが、一番の戸惑いの箇所だったのでしょう」
……と分析する。たしかに「新型コロナショック」に(サラ川では定番である)「トホホな夫婦関係」を如才なく絡めた、面白味こそ薄いがバランスの取れた美しい一句であり、こういう総合力の高い作品がトップにくるのは、まあわかるような気もする。
ちなみに、ベスト10内で私が個人的に好きだったのは、
じいちゃんに J.Y.Parkの 場所聞かれ(5位:けぇぽっぷ/40代女性)
お父さん マスクも会話も よくずれる(7位:さごじょう/30代男性)
お若いと 言われマスクが 外せない(9位:エチケット/50代男性)
……の3作品。1位の作品と比べれば、もう少々状況設定のディテールが細かいぶん、ベスト3入りは果たせなかったものの、どれも「あるある!」的な既視感がほのかによぎるハイクオリティな秀作だといえよう。あと、私はサラ川を論評するにあたって「雅号」をわりといつも重視しているんだけれど、「けぇぽっぷ」「さごじょう」という、なんのひねりもない平仮名表記もなかなかにいい味を出している。できれば「エチケット」も「えちけっと」にしてくだされば……よりいっそうの深みが作中にもフレイバーされたに違いない?
惜しくもベスト10からは漏れてしまった作品群のなかにも、ゴメス的に注目したい力作はいくつかあった。
自粛中 見えた夫の 定年後(32位)
テレワーク いつもと違う 父を知る(34位)
う〜ん……切ないっ! では最後に。この不肖、山田ゴメスも渾身のサラリーマン川柳を一句!!
二木(にき)さんの ダンディボイスが クセになる…
おあとがよろしいようでm(__)m