私が『ジョブチューン』の「○○○イチ押し商品vs一流料理人!」コーナーを観て、いつも不快に感じること

コラム

 

TBS系列で毎週土曜日の夜に放送されている、お笑いトリオ『ネプチューン』が冠を務める『ジョブチューン』という番組がある。

 
安定した視聴率を稼ぐ、なかなかの優良番組である……らしい。いろんな職業を独自の視点で掘り下げた興味深い特集も多く、私もたまにチャンネルを合わせ、そこで得たウンチクをそのまま飲みの席などのネタにおり混ぜては、コミュニケーションの潤滑油として使用させてもらったりもしている。

 
そんな『ジョブチューン』の人気コーナーの一つに、「○○○イチ押し商品vs一流料理人!」ってやつがある。「○○○」のなかに入るのは、シャト◯ーゼだとか丸◯製麺だとかサイ◯リアだとかの、いわゆるチェーン展開型の飲食店であり、これらの店舗がみずから「イチ押し」とする自慢のメニューを、「一流」と(番組から)銘打たれた7人の「料理人」が「合格・不合格」のジャッジを下し、「合格」の数が過半数を超えたら「合格」の認定を与えられる……といった内容である。そして、あくまで個人的な心象に過ぎないのだが、私はこのコーナーを観るたびに、いつもちょっとした不快な気分に苛まれてしまう……。なぜ???

 
まず、

 

「一流料理人=格上/チェーン系飲食店の料理人=格下」

 
……みたいな上下的に括ったヒエラルキーの構図にものすごく違和感を感じる。そりゃあ、こうした“序列の明確さ”が番組を盛り上げるためには欠かせない、「もっともわかりやすい演出」であることくらいは理解できなくもない。上から目線で「一流料理人」が“チャレンジャー”として登場する料理人たちの“渾身の一品”を、苦虫を噛み潰したような表情で勿体ぶりながら試食し、ときには容赦ない辛口の批評をつらつらと並べる──むしろ、このような“憎まれ役”をメリハリをもって演じることができる「一流料理人」のほうが、番組的には「キャラが立っている」ということで、重宝されるのだろう。

 
それにしたって、(全員が全員とは言わないけど)そこまで「何様?」チックに偉そうな態度を取らなくてもいいんじゃないか!? また、チャレンジャー側の料理人や広報担当の方々も、まるで神に祈るように謙(へりくだ)って、目をつぶり両手を組みながら“お願い”を立てなくてもいいんじゃないか?

 
「一流」とされる料理人とチェーン系飲食店の料理人とでは、そもそも目指す“ゴール”の質が異なっている……と、私は思う。誤解を恐れずに言ってしまえば、前者は「求道的な美味しさ」を目指し、後者は「リーズナブルかつ最大公約数的な美味しさ」を目指す──つまり、スポーツに例えると、同じ「料理人=アスリート」ではあっても、まったく違ったフィールドで試行錯誤に全力を費やす「プロ野球選手」と「プロサッカー選手」のようなものであり、「メジャーリーガー」と「高校球児」といった比較はそぐわない……二者のあいだに優劣は存在しないのだ。

 
したがって、チャレンジャー側の料理を「合格」「不合格」の形容で評価するのも、私としては一抹の疑問がよぎってならない。「好き・嫌い」「合う・合わない」とかじゃダメなのか? こんなにも理不尽かつ一方的なルールに縛られた“異種格闘戦”にエントリーするなら、チャレンジャー側も、もっと椅子にでもふんぞり返って鷹揚に、その“エキシビジョン・マッチ”の経過を気軽に楽しんでもかまわないのではなかろうか。

 

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