まだ一度も会ったことがない相手と旅行の約束をして、その料金まで振り込んでしまう、イマドキのマッチングアプリのとんでもないバーチャルっぷり!

コラム

 

昨今、ネット上で男女の出会いをセッティングしてくださる「マッチングアプリ」を悪用した詐欺事件が多発している──そんな風な内容の特集を8チャン(フジテレビ系)の朝の情報バラエティ番組が組んでいた。

 
その常套的な手口の一つには、

 
「マッチングアプリで知り合って、何度かコミュニケーションを重ねていくごとに親密となった男が『今度一緒に旅行へ行かない?』と誘ってきて、その代金を女性に振り込ませる」

 
……といった類(たぐい)があるようで、もっか新型コロナショックの影響で日本のあちこちに緊急事態宣言が発令されている真っ只中であるにもかかわらず、

 

 
「沖縄旅行のワリカン分65000円だけで大丈夫だから!」

 

「たった50000円でオーストラリアに行けるツアーがあるから!」

 
……みたいに微妙なリアリティーを匂わせる額を提示しつつ、女性が振り込み作業を終えたと同時に男は跡形もなくドロン、一切連絡も取れない状態となってしまう……らしい。しかも驚くべきことに、その二人はスマホとかの端末でのやりとりだけで「一緒に旅行へ行こう!」と感極まるまでの関係を温め、実際に会ったことは一度もないケースも珍しくはないという。

 
マッチングアプリを(現時点での)進化の頂点とする、電話やネットを媒介とした出会いのシステムは、一昔前だと「ヤッてるのが他人にバレたら恥ずかしい」なんて“後ろめたさ”を誰しもが持っていた。しかし、近年では「ヤッてます!」と堂々公言する若い世代も増えている。あと数年も経てば、下手すりゃ結婚式で司会者から「お二人の出会いのきっかけはペ○ーズでした」みたいな紹介をされても「全然当たり前」な時代になっているのかもしれない……いや、すでにそうなっているのかもしれない。

 
アメリカでは、我々日本人には想像できないほど、マッチングアプリが“出会いのツール”として主流になっている……と、ニューヨーク帰りの女友だちが教えてくれた。単純にアメリカは日本よりも物理的な面積が広いため、必然的に「直接会って〜」より「ネットを駆使して〜」恋愛を育むことが合理的かつ自然……なのだそう。さらに、アメリカで流行ったモノのほとんどは我が国でも時間差で流行る“追随の法則”が根強く生きているのであれば、そろそろマッチングアプリも、若い世代だけじゃなく幅広い年齢層がチャレンジする頃合いとなっている、すなわち「一般化」がここニッポンにおいても、ようやく社会認知されつつあるということである。

 
……とは言え、いくらなんでも「一度も会ったことがない相手といきなり“宿泊”を前提とする旅行に行く」といったその性急すぎる決断はどうなんだろう? 「いざ対面してみたら“実物”が写真と全然違っていた」という可能性もある。「文字での会話だけじゃわからないお互いの間(ま)やリズム感が合わない」という可能性もある。そんな相手と共に過ごす数泊数日なんてえのは、まさに地獄ではないか。

 
食事も飲みもなかなかままならぬこのご時世ゆえ、せめて「旅行」はいったんマッチングアプリから離れ、最低でもリモートで“対面”してからのお楽しみ……ってことにしておいたほうが、詐欺も含めたリスクも少なくなると思うのだが……この手の慎重さを促す考え方ですら、もう古いんですかね???

 

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