「もしかして子どもに虐待しているかも…。」と感じる人が64%に…コロナ禍3年目、親への支援が必要です

コラム

 

ジャーナリストの岸田雪子氏が子育て周辺の課題を取り上げる連載「岸田雪子のBloom Room」。笑顔の“つぼみ”を花開かせる小部屋です。今回は「子どもとの向き合い方」を考えます。

 

 

「子どもと向き合うとき、もしかして虐待や体罰になっていないか心配になったことはありますか」? ……そう尋ねたアンケートで、今月、予想を超える結果が判明しました。「はい」と答えた人が、全体の64.6%に上ったのです。

 

 


 ※実施期間:1月14日~1月16日
 実施方法:Twitter、Facebookアンケート機能
 回答件数:合計508件
 

 

アンケートは、このサイトを運営するAll About Navi(オールアバウトナビ)が行ったものです。

 

教育や子育ての課題を長く取材してきた私としても、想像を超える高い割合でした。長引くコロナ禍、変異株により再び休園・休校が増え、親子とも不安やストレスが高まっているのではと気がかりです。回答いただいた方からは、切実な声も寄せられました。一部ご紹介させて頂きます。

 

私には9歳の息子と6歳の娘がいます。

 

いつも怒りの矛先は息子で、ついヒートアップして怒鳴ってしまい、その後罪悪感に苛まれてしまうこともしばしばです。

 

我が家では、やることをやっていればゲームをやってもYouTubeを見てもいいよというルールにしています。やることというのは、学校の宿題、学校から出されたお便りを出す、ランドセルや帽子を所定の位置に片付けるということです。

 

しかし、息子は帰ってきてからそれらをせずにおやつを食べ、ソファでダラダラと過ごし、
やることをすっかり忘れて気づいたらYouTubeを見たり、ゲームをしていたり、ということがしばしばあります。(中略)

 

先日、自分が余裕なく過ごしたせいもあり、宿題をせずにゲームをやっていた姿を見て、なんでやることをやっていないのにゲームやってるの?やっていないことは自覚してたの?と聞いたところ、そんなこと考えていなかったと言われカッとなり肩をつかんでいつもいってることでしょ?なんでわからないの?と怒鳴りあげ、ゲームを取り上げました。(中略)

 

この怒鳴るという行為が、すごく一方的で虐待になっているのではないかと不安になっています。

 

不安なお気持ち、わかります。大丈夫です。虐待になってはいけない、怒鳴っても伝わらないということも、分かっていらっしゃいます。

 

きっと必要なのは「なぜ子どもに伝わらないのか?」という子どもの発達や気質への理解と、「どうすれば伝わるの?」というコミュニケーションの方法なのだろうと思います。

 

実は、日本ではこうした親御さん向けの情報が足りていないと感じています。2年前、政府は「家庭内の虐待を禁止する法律」を作りましたが、その替わりとなる「子どもに伝える方法」を示していない。「暴言や暴力はだめ」とプレッシャーだけ押し付けられ、ただでさえ忙しく、コロナ禍の子育てに孤軍奮闘される親御さんたちの不安感は、余計に増しているのではないでしょうか。

 

 

■スウェーデンの試みと「ポジティブ・ディシプリン」

私が取材したスウェーデンの試みは、日本とは異なります。スウェーデンは1979年、世界で初めて「子どもへの体罰を禁止する法律」を作った国ですが、法律と同時に「どうすれば暴力や暴言を使わずに子育てができるか」の具体的なアドバイスをまとめ、国民に広く伝えるキャンペーンを繰り広げました。そして子どもの発達に合わせて、子どもが理解できるように伝えることの大切さを説いたのです。

 

スウェーデンの取り組みに強く影響を受けたカナダ人の臨床心理学者らが開発したのが「ポジティブ・ディシプリン」という親を支援するためのプログラムです。世界36カ国以上に普及し、私も学びましたが、我が子のことを知っているつもりで知らなかった! 知ってよかった、と感じることが多くありました。
例えば、「気質(きしつ)」。人の性格を形づくり基礎のことを指す心理学の言葉で、「活発に動き回るタイプ」「粘り強いタイプ」など「ポジティブ・ディシプリン」では7つに分類します。我が子の「気質」、親自身の「気質」を知ることで、「どうしてこんなことするの!」と子どもに問わなくても、「この子の行動は気質のせいかもしれない」と理解できるヒントを得ることができるのです。子どもと衝突しやすい時は、この「気質」のほか、発達年齢ごとの特質を知ること、そしてアンガーマネジメントの知識も役に立つと思います。

 

 

■「宿題をやらずにゲームする9歳児」には…

例えば、先ほどの「宿題をやらずにゲームをしている」という9歳の男の子の場合で考えます。まず9歳という年齢は自立心が育ち、「親の言う通りには動かない」ことが自然な成長過程なのだと心に留めておきます。

さらに本人の「気質」を調べてみた時に、もし「日課に慣れることに時間がかかるタイプ」なら、ルールを決めても馴染むのが難しい場合もあるでしょうし、「始めたことをなかなかやめられないタイプ」だと、「言うことを聞かない」ように親は感じやすいでしょう。

 

「気質」は親御さん自身にもありますから、親が「規則正しく活動する」タイプだと、お子さんの「気質」との違いにイライラを感じやすいかもしれません。怒りをコントロールするアンガーマネジメントでは、例えば「タイムアウト」の手法を使って「その場をいったん離れて冷静になる」と言う方法もあります。自分に余裕がないなと感じる時には、意識的に使ってみるのも良いでしょう。

 

その上で、コミュニケーション方法としては、「相手が理解できるように冷静に伝えること」が肝要です。子どもは、「なぜゲームより先に宿題やらなければいけないのか」が理解できていないことがありますから、落ち着いて説明しましょう。

 

ルールを決めたからと言って、すぐに守れる子はいない、とおおらかに構えた方が上手くいきます。子どもが守れるようにルールの設定を少し簡単にして「できた」体験を重ねるのも良いでしょう。

 

なぜ帰ってすぐにゲームを始めるのか、本人に聴いてみるのも良い方法です。友達との約束など、子どもなりの事情があることもあるからです。

 

そして一度でも「自分から宿題をした」といった努力が見られた時は、「自分から宿題できたね」と、ありのままを認めてあげてください。親御さんの「認める言葉」は子どもの自信となり、少しずつ習慣が作られていきます。

 

 

子どもの「気質」や発達を踏まえたコミュニケーション術については、全ての親御さんが無料で簡単に手に入られる支援策が必要で、ぜひ政府・自治体に取り組んでいただきたいと思っています。ひとまずは少しでもみなさんのお役に立てればとの思いで、先日、私の取材や伝え手としての経験を交えた子育て実用書としてまとめました。スウェーデンの試みや「ポジティブ・ディシプリン」についても詳しく記しています。こちらは有料で恐縮ですが、一つでもヒントになればと紹介させていただきました。

 

私も思春期の中学生と向き合い、七転び八起きの毎日ですが、それでもまた明日があることに感謝して、少しでも前に進めればと思っています。

 

 

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ジャーナリストの岸田雪子氏が子育て周辺の課題を取り上げる連載「岸田雪子のBloom Room」。笑顔の“つぼみ”を花開かせる小部屋です。今回は日常の中の子どもへの「声かけ」を考えます。

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