一つの記者会見で十の後追い記事が書ける? 「なりたいおじ(い)さん」のトップを独走する高田純次の安定感抜群なコメント力
タレントの高田純次(75)が3月14日、同日に発売された新著『50歳を過ぎたら高田純次のように生きよう〜東京タワーの展望台でトイレの順番ゆずったら本が出せました〜』(主婦の友社)の発売記念メディア取材会を都内某所で行った。まずは、会見中次々と飛び出した、脱力感に満ち満ちた “高田発言” のいくつかを、以下にピックアップしてみよう。
(長すぎるタイトルについて?)
「(編集者と)トイレで会ったというのは、ほとんど覚えていないんですね。私の天使のような行動がこのようなことに結びついたと考えると嬉しいなと思います」
(なぜトイレの順番を譲ったのか?)
「(そのときは)尿意がなかったのかな」
(どんな人に読んでほしい?)
「背の高い方、低い方、年で言えば5歳から90歳までですかね」(続けて)「(出来は)パーフェクトだと思いますね。私の思っていたことも書いていますし、ほんとだったら無料で配りたいんですけど」
(本の仕上がりは何点?)
「200点ってとこですかね。ただ満点は250点なんですけど、50点だけ謙虚な気持ちで」
(世の中から「高田純次のようになりたい」と言われることについて?)
「俺自身は俺になりたくないけどね。打ち破るような行動をしているんですけどね。具体的になにか? そう言われるとないんですけどね」
(自身の死生観について?)
「死ぬ寸前まで現役でいたい。好物のあんかけもやしそばを食べるロケをやりながら死にたい」(続けて)「こうなったら150歳まで生きてやるしかない。150歳になったら全裸になっても怒られないでしょ?」
相変わらずの息もつかせぬマシンガントーク、しかも安定感抜群な “高田節” の数々だ。ここまで密度と精度の高い発言を連発してくださったら、会場にまでわざわざ足を運んで記事をまとめる記者さんも、さぞかし大喜びであろう。下手なつなぎの文章もさして考えることなく、発言をそのまま文字に起こしただけで、それなりのクオリティに達した(ネット)原稿を複数仕上げることができるのだから……。
あの松本人志(58)ですら、かつて『水曜日のダウンタウン』(TBS系)で「すごいと思った芸人」として、高田純次の名を挙げ、高田が昔、収録中に突如口にしたという、次のようなコメントを紹介している。
「(歯を矯正している一般の少女に対し)なに、キミ? 針金食べてるの?」
番組中、さすがの松本も「思春期の女の子やし、今なら(確実に)切られる(=カットされる)んでしょうけど…」と、苦笑しながらさりげないクレームを入れていたが、その松本本人も、この瞬発力のみで垂れ流される “放言” がなぜか許されてしまう(=さして炎上しない)、芸能界における唯一無二のスタンスに少なからずの尊敬と憧憬との念を抱いているに違いない。
ただ、今回の取材会も同様ではあるのだが、これら一連の「瞬発力のみで垂れ流される “放言” 」のなかにも、ときおりじわっと染み入る「人生の本質を突いた教訓」がぬるっと挿入されているのが、高田純次の真骨頂なのではなかろうか。
たとえば「死ぬ寸前まで現役でいたい。好物のあんかけもやしそばを食べるロケをやりながら死にたい」のくだり──たしか、ダチョウ倶楽部の肥後克広(59)も「(将来)車椅子に座りながら『聞いてないよ〜』とボケていたい」みたいなことをおっしゃっていたが、「死ぬまで現役」は別に芸能人や私のような職業ライターにかぎったことではない、おそらく大半の中高年男女が心底では「理想のゴールイン」として頭に描いているはずの “悲願” である。そのぼんやりとしたイメージを「あんかけもやしそばの食レポ」の一言で明確なかたちに具現化する高田純次の表現力は……古希を半ばに迎えた今でもまだまだ健在なのであった。
あと、最後に一つだけ! 公衆トイレで便意が臨界点ぎりぎりのとき、もし順番を譲ってくれるヒトが現れたら……そのヒトが「天使」のように見えてしまうのは、かなり本当だと思います(笑)。