「不登校」という言葉、やめませんか? 中学校なら「1クラスに1人は登校しない」今、心に留めたい3つのこと

コラム

 

ジャーナリストの岸田雪子氏が子育て周辺の課題を考える連載「岸田雪子のBloom Room」。笑顔の“つぼみ”を花開かせる小部屋です。今回は「不登校」について。

 

 

まもなく新学期。進級、進学を期待する子どもたちの一方で、この季節をプレッシャーに感じる子どもたちもいます。学校に通わない子どもたちに、大人はつい、無遠慮な言葉を投げかけたりします。

 

「4月になれば、先生も友達も変わるから。そろそろ、行けるんじゃない?」

 

行ける、という言葉に含まれる、「行くことが良いことで、行かないことは悪いこと」という価値観。それを感じとった「行っていない子ども」は、また傷つき、居場所がないと感じてしまいやすいことを、まず心に留めていただけたらと思います。

 

 

■小学校で学年にひとり、中学校なら1クラスにひとり

 

文科省の調査によれば、「不登校の状態の子ども」の数は増え続け、コロナ禍の影響で、そのきっかけも複雑化しています。
ずっとマスク生活で友達関係を築きにくい子。黙食の間、食器の音だけが鳴り響く教室に馴染めない子。マスクの下の先生の表情が怒っているのか笑っているのか分からずに不安な子。「子どもが学校でもらったウイルスで家庭内感染が広がる」と耳にして、「自分のせいでおじいちゃんが死んだらどうしよう」と怯えている子もいます。

 

小学校では、およそ100人にひとり、そして中学校では25人にひとりが「不登校の状態」とされています。どの子が「その状態」になっても、少しも不思議ではありません。逆に言えば、それだけ「居場所としての学校の機能」が失われているということです。子ども個人や、家庭の問題ではない、ということを、その数の多さが表しています。

 

それなのに、「不登校」という、子どもの側にネガティブなイメージを持たせる言葉が使われていることには、違和感を覚えずにはいられません。彼ら彼女らは、ただ学校以外の場所で過ごし、育っている子どもではないでしょうか。

 

 

■「その子を否定しないこと」から すべては始まる

 

「行くのが当たり前なのに行けない子」というプレッシャーは子どもたちを苦しめます。私が話を聞いたある中学生は、こんな話をしてくれました。

 

「朝、急に起き上がれなくなって。昼間は眠くて、眠くて。 “普通” に学校から帰る子どもの声が聞こえると、布団かぶって。自分が社会から取り残された、底辺の存在って思ってた。」

 

覚えておいていただきたい2つ目のことは、あなたの周りに、もし「不登校の状態」の子どもがいるなら、まず、その子を否定せず、まるごと受けとめてあげて欲しい、ということです。

 

その子が、「世界は完璧で、自分には欠陥がある」と感じているかもしれないことを理解し、「あなたはあなたのままでいいし、世界こそ不完全で、未完成なものだ」と教えてあげてください。そして今のその子の生活スタイルを大きく変えることなく生きていける世界があることを、教えてあげてください。

 

 

たとえば北欧のスウェーデンでは、学校に通わない子どもに対しては、国と自治体が連携して支援し、就学だけでなく、就労にまでつなげるようサポートしています。

 

日本でも、学校外での学びの機会を広げる取り組みは各自治体で少しずつ進んではいます。でも、それらは、あくまで「学校に戻ること」が前提であるため、「義務教育の否定にならない範囲で」と及び腰のようです。

 

もっとも否定してならないのは「義務教育システム」ではなく、「その子自身」です。それぞれの「学校に行かなくなった理由」に寄り添い、学校内の居場所を回復する努力と同時に、学校に通わなくても学べる場所と、就職につながるサポートは、国と自治体にこそ果たす責任があるはずだと思うのです。

 

 

岸田雪子さんは、子育てと介護のダブルケアの日常を綴ったブログも更新しています。

興味のある方は、是非ご覧になってみてください。

>>https://ameblo.jp/yukik042

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