「遅刻しても成果さえ出せればいい」? 比較対象をずらすことによって話をよりややこしくし、"うるさ型のネット住民" たちを引き込むひろゆき氏の巧妙な論破術

コラム

 

『2ちゃんねる』開設者であり、「論破王」の異名でも名高い「ひろゆき」こと西村博之氏が某トークバラエティ番組で語った

 

「遅刻しても成果さえ出せればいい」

 

……という持論、さらに自身のツイッターに投稿した

 

有吉(弘行)さんがタレントとして凄い人だとしても、誰かの機嫌を伺って自分の人生を切り売りして、時給で働いている人という枠の中なんですよね。それが好きな人は成果より時間厳守でいいと思います。おいらは時間に縛られないで寝ててもお金が落ちてくる生活の方が好みです

 

……とのツイートがネット上で大きな反響を呼んでいるという。私はこの一連の炎上案件をだいぶあとになって知ったのだが、まず最初に

 

「え! ソッチと比べるんだ!?」

 

……と、比較対象が「遅刻しなくて成果も出す人」である点に驚いた。

 

とりあえずは「遅刻」と「成果」のキーワードから、人のタイプを4つに分類してみよう。

 

(1)   遅刻しなくて成果も出す人

(2)   遅刻するけど成果は出す人

(3)   遅刻はしないけど成果は出せない人

(4)   遅刻はするし成果も出せない人

 

まあ(4)は論外として、普通比べるんだったら(2)と(3)なのではないか? そうすれば話もシンプルだし、 "問題提起された側" も「わかりやすい二択」として、じっくりと悩み抜くこともできる。ちまたの意見もそこそこ真っ二つに分かれるに違いない。

 

ところが! ひろゆき氏は「有吉弘行」という恰好のシンボリックな実例まで挙げて、(1)に噛み付いているのだ。

 

「遅刻しなくて成果も出す人」「遅刻するけど成果は出す人」、どっちがいい?

 

う〜ん……ややこしい! そりゃあ "仕事を発注する側" からしたら、圧倒的に前者のほうがありがたい。が、もはやこの二択のテーマは「遅刻」云々ではなく、「誰かの機嫌を伺って自分の人生を切り売りすること」を「是」とするか「非」とするか……にすり替わっている。

 

ちなみに、私は遅刻は滅多にしないし〆切も厳守する、どちらかといえば(成果の程は置いといてw) "有吉側" の人間なんだけど、遅刻したり〆切をやぶったりすることで人に嫌われるほうがずっとイヤなので、常に「誰かの機嫌を伺って人生を切り売り」している。そういう半生にもう慣れきってしまっただけなのかもしれないが、そのほうがはるかにストレスも少ない。おそらく「寝ててもお金が落ちてくる経済力」を得たとしても、私のこんな性分は変わらないだろう。ひろゆき氏も「それが好きな人は成果より時間厳守でいいと思います」と言ってくれてるんだし……? 

 

ただ、約束事を守らないことで多くの敵をつくってもまったく意に介さない強靭なメンタルの持ち主で、しかも「寝ててもお金が落ちてくるシステム」をきちんと構築済みなヒトなら、そういう「気まま」な人生もアリ……なのかもしれない。

 

はい! 我ながらじつに煮え切らない結論であります(笑)。ってなわけで、狡猾に論点をずらすことによってじわじわとネット住民の反感をケムに巻きながら、ちまたの話題をかっさらうひろゆき氏の "戦術" に、私は思わず脱毛……いや、脱帽するしかないのであった?

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